ネットコミュニティは学習するものではなく参加するもの、ジャーゴンは習うものではなく倣うもの

たとえば2ちゃんねるには2ちゃんねるの用語が、はてなにははてな界隈で通じる言葉があります。


とりあえずこれらをジャーゴン*1と呼びます。こちら
http://d.hatena.ne.jp/laddertothemoon/20061010/p1
で「はてな方言」と呼ばれているものも含まれます。
こちらに書かれている

しかしはてな用語をわかるようになりたいのか、そうでないのか、がポイントなのかも

あたりらへんが今回の焦点。
結論は、「わかるようになりたいと思わなくても大丈夫」ということ。


ジャーゴンの拡がりには時間がかかる

さてジャーゴンがひろまるためにはまず「受け渡し」が重要となります。
こんな感じです。

  • ジャーゴンを考えた人がネットで使う→人に知られる→それを使ってみる人→さらに伝播


たいていの場合、ジャーゴンの発生にはこういった過程があります。
ここでのポイントは「最初に使う人」「面白いと思って使う人」が、ある程度はネットで顔なじみであること、くり返すこと、このふたつ。(2ちゃんねるの場合はジャーゴンが「殺伐さを回避する」「殺伐さを加速」のどちらかにしか使われないのでこれらは関係ありませんが)


「受け渡し」の次に必要なのは「普及」です。最初はこんな感じでごく内向きに使われていますが、

やがて周囲にも広まります。ネットなので。

それがさらに拡がります。

で、これはどういうことかというと、そういったジャーゴンの普及と定着にはすこし時間がかかるということです。長い短いはありますが。
たとえばブックマーク界隈で見ても、「はてブ」「ホッテントリ」「favられる」などが定着するまでには数ヶ月かかりました。


ジャーゴンはコミュニティにいないひとには無用

つまりだれもがコミュニティに一定期間参加する(身を晒す)ことでジャーゴンを身につけていくわけで、いちいち「はてな語勉強」みたいな感じで学習していくものではない、と言えます。もちろん初期にはそういった学習もいくらか必要ですが、学習することでコミュニティに入れるわけではありません。そもそもジャーゴンはネットの性質も相まって流動的・局所的なので、コミュニティに参加していなければあまり意味がありません。


たとえば男女は一般に、つき合いが長くなればなるほど相手とのあいだで通じるジャーゴンが増える傾向があります。共有する言葉について、それぞれのあいだで微妙なニュアンスの調整を(時間をかけて)行っているので、そういった第三者にはまったく意味のない言葉でもその男女のあいだではコミュニケーションを円滑にする役に立ったりします。
これはそのまま、コミュニティ内にも適用されます。
ジャーゴンはたいてい意味がない言葉なのですが、それでもギスギスした雰囲気を緩和したり、キツい言い方を和らげる効果があったりします。動物が競争相手とのあいだで行う、直接的な闘争を回避する儀式と似たようなものですね。そしてそういう言葉が必要になるのは、コミュニティに参加している場合であり、またかならずしもコミュニティそのものを理解する手助けにはなりません。


コミュニティに参加していれば身につくし、参加していなければそれはそれで使わなくても問題ない

こういったニュアンスの理解が必要なジャーゴンというものは、じっさいに使うときに

のそれぞれを配慮しなければならないので、ただ学習してもあまり役に立ちません。スラング辞典でアメリカのスラングを覚えるようなものです。ニュアンスのために使われている言葉をニュアンス抜きで覚えることにはあんまり意味はないわけです。
こういったジャーゴンはコミュニティに参加していれば身につくし、参加していなければそれはそれで使わなくても問題ない、という程度のものでもあるわけです。


つまり「はてな方言」のようなものを見ても「へえー」ですましておいてまったく問題ない、ということ。あなたがコミュニティに馴染むころにはもっとべつの方言も作られているのだから、なにも心配はいりません。
わかろうと思わなくても、大丈夫。
それよりもコミュニティに参加するかどうか、たぶんそこ(あきらめのようなものと開き直り)が重要。


*1:ここでは便宜上コミュニティ内方言も含むスラングの類をまとめて意味する。naoyaんからクリリンまで。