藤原正彦の脳内ヒストリーによると1980年代にはいじめ自殺はほとんどなかったらしい。

たいへんにお花畑な時代だったようです。
http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/column/seiron/34073/

 でも君の生まれたころ、いじめによる自殺はほとんどありませんでした。生命の尊さを皆がわきまえていたからではありません。戦前、生命など吹けば飛ぶようなものでしたが、いじめで自殺する子供は皆無でした。

戦前と80年代とをいっしょにする感覚も驚きですが、80年代なかばにいじめ問題がおおきく扱われていたことは脳内でスルーしているようです。20年前ではなく、200年前の話でしょうか。
いやもしかすると、わたしの記憶している80年代とは違うのかもしれません。なので、ちょっと調べてみました。

80年代のいじめ問題

以下強調は引用者。
朝生namadas

1985年頃から、いじめが大きな社会問題として取り上げられるようになった。同年だけで、いじめによる自殺が9件発生し、警察が傷害、恐喝など事件としてあつかった悪質な「いじめ」だけで274件(上半期)に昇った。

こちらによると1985年、1986年のいじめ自殺はそれぞれ10件に上ります。昨年2006年のいじめ自殺が6件だったことを考えると、いかに多かったかが分かります。
D いじめ

現在、問題となっているいじめ現象が現れはじめたのは、まさにこの1970年代後半である。そして、いじめ問題が社会問題として大きく取り上げられはじめたのが1985年である

いじめは1985、1986年をピークに急激に減少したとされていたが(後略)



http://www.nichibenren.or.jp/ja/opinion/statement/061208.html

国連子どもの権利委員会は、すでに1986年6月、政府報告に対する最終所見の中で、学校における過度に競争的な教育が子どもたちにストレスや発達障害を生じさせていることを指摘する一方、いじめについて懸念を表明し、これに対する対策を求めている



当時の国会、法務省においてもいじめの問題は認識されている。
http://www.alpha-net.ne.jp/users2/knight9/nakano.htm(1986年2月1日)

1986年(昭和61年)3月、法務省人権擁護局によると、いじめた側は、(1)力が弱い、動作が遅い、(2)なまいき、良い子ぶる、(3)仲間にはいらない、(4)肉体的欠陥、(5)人より優れている、(6)転校生・・・を理由に「いじめ」を行っている、という調査結果を発表した。



衆議院文教委員会(1986/04/09)の議事録(104 衆・文教委員会 1986/04/09

自殺ということにはならなくても全然勉強なんという方向には向かわない子供がたくさんふえてきているとか、それから、そうした自殺の原因以外にもいじめによる自殺というのは随分今ある



東京弁護士会に「子どもの人権救済センター」が作られたのも1985年です。


いじめ自殺 : 少年犯罪データベースドア
こちらのリストから、80年代のものをタイトル部分のみ引用。

昭和59年(1984).1.23〔中2がいじめられ学校で自殺〕
昭和59年(1984).2.13〔中学生、イジメていた同級生に逆に脅され、焼身自殺〕
昭和60年(1985).1.21〔中2がいじめられて自殺〕
昭和60年(1985).1.21〔中2女子がもうイジメないでと自殺〕
昭和60年(1985).2.6〔中1少女、イジメ苦に自殺〕
昭和60年(1985).3.10〔中2男子、イジメ苦に自殺〕
昭和60年(1985).3.11〔中3、イジメ苦に自殺〕
昭和60年(1985).9.25〔中3がイジメで自殺〕
昭和60年(1985).11.20〔中2女子、イジメ強要され、できないと自殺〕
昭和60年(1985).11.20〔イジメ苦に女高生自殺〕
昭和60年(1985).12.9〔中2がいじめ自殺〕
昭和60年(1985).12.13〔中3がイジメ原因で自殺〕
昭和61年(1986).1.8〔女子中学生、イジメ苦に自殺〕
昭和61年(1986).1.27〔イジメのろってやると女子中学生自殺〕
昭和61年(1986).2.1〔中2がイジメで「生き地獄になっちゃうよ」と自殺〕
昭和61年(1986).2.3〔中2がイジメで自殺〕
昭和61年(1986).2.11〔女子中学生イジメ苦に自殺〕
昭和61年(1986).2.12〔高2がイジメで自殺〕
昭和61年(1986).2.22〔女子中学生、陰湿なイジメ受け自殺〕
昭和61年(1986).2.22〔小学生、イジメから抜けたい、この道しかないと自殺〕
昭和61年(1986).3.5〔中2がイジメで自殺〕
昭和61年(1986).4.〔中学生がいじめ自殺し16人を送致〕
昭和62年(1987).4.23〔中2女子がいじめ自殺〕
昭和62年(1987).6.17〔中3がいじめ自殺〕
昭和63年(1988).4.11〔入学直後の高校生自殺、イジメから対人恐怖に〕
昭和63年(1988).5.20〔中2女子がいじめられて目の前で自殺〕
昭和63年(1988).11.21〔いじめ苦に中学生、鉄塔から飛び降り自殺〕
昭和63年(1988).12.21〔中1女子がいじめ自殺〕
平成1年(1989).10.2〔中3がいじめ自殺〕



自説のためとはいえ、若いひとたちにもっともらしくデタラメを話すのはおとなの道徳としてどうなんでしょうか、藤原先生。当時を知らないそのへんの中学生ならともかく、これはおとなの発言としてちょっと悪質です。