「わかりやすくまとめる」ブロガーがブログ界隈をテレビ番組化していく

おそらくマスメディアとその受け手の関係はこの図のような感じ(ただテレビ・ラジオなどではお金の部分が意識されにくくなっている。)で意識されています。

今回は「現在のブログ界隈ではこんなことにはなってないけど、いずれはそうなるだろうね」というお話。

テレビ番組の捏造とそれを暴く報道、という「お話」

視聴者はいつもマスメディアに期待をしている。
視聴者はメディアに

  • 面白いお話をしてほしい(不健康→健康のすごいストーリーを作って欲しい)

という期待をしていて、それは

  • うまい具合に欺してほしい

というのと同義と考えていい。「欺す」というとあまりいい意味合いに聞こえないけど、「耳によく入るような話を聞かせてほしい」ということはそういった要求を自ずと含めている。「わかりやすくするためなら、少しぐらいは作ってもいい」って感じで。マスメディアの視聴者は「なるほど。わかった」と思いたいのであり、「わからない。なぜ?」とは思いたくない。「正確さ」と「わかりやすさ」というのは本来両立できるのだけれど、それをやると手間と知恵が必要なので、みんな易いほうへ流れていく。
で、今回のようにマスメディアによる詐欺的な行為があからさまになったとしても、マスメディアへの要求はあいかわらず

  • 面白いお話をしてほしい(欺瞞的な話を暴露するお話をしてほしい)

ということであって、地道に問題点を検証していく、などという作業ではない。
今回の関西テレビの件ではつぎの報道のように

元スタッフの証言では、捏造を現場で指示したとみられる制作会社のディレクターは「視聴率が20%を超えたら関西テレビのプロデューサーからご褒美に、コンペ参加名目で香港に連れて行ってもらえる」と話していたという。視聴率を取れる番組作りを要求される制作会社。ディレクターの言葉は、いつ競合他社に仕事を奪われるか分からないという不安の裏返しでもある。

「旅行でスタッフを釣るプロデューサー」「苛酷な要求をされる制作会社」といったストーリーが強調されることが多く、10回ものチェックが機能しなかった点については突っ込んだ話、どうすべきかといった話が出てこない。
このようにマスメディアというのはいつもお話でなければならないし(そうでなければマスに伝わらない)、それはどちらかの罪ではない。個がマスへと醸成される過程ではつねに以下のような変化が起きる。

メディアへのこの依存がある限りは

  • 自分で真実を見極めるぞー
  • お話なんかに欺されないぞー

という態度は視聴者のなかには生じようもないし、またそういった「お話からズレた真実」はマスに理解されにくい。それは上述したように「マスがバカだから」とかそういうことではなく、「お話からズレた真実」がマスへと浸透しにくいからだ。じゃあ「面白いお話」の意味はなんなの、そんなの意味あるのかというと、マスメディアというのは

  • あまり近くも遠くもないのろし=広範囲な社会への伝達・警鐘

のような機能を持つものなので、のろしを七色の煙とかにしてもちょっと……ということになる。


このあたりの話はじつはブログ界隈でも似たようなことが言えて、多数の読者を抱えるブロガーはすでにその周辺がマスメディアとなりつつある。そこでは

  • わかりやすい話
  • 断片的なアイデアや思索ではなく、まとまった情報

が求められる傾向があり、おそらく書き手もまた(広告の経済効果があればさらに)そちらへとシフトしていく。そこには「わかりやすさ」というガスが充満していて、内容はあまり吟味されることなく呑みこまれていく。
こういったマスメディア化したブログの周辺では議論も疑問もなく、検証もない。実際に「まとめサイト」周辺はそういった状況になっている。

ではどうすればいいのか

逆に言えば、「まだまだ読み手を増やしたい」と思っているブロガーは既存のメディアの真似をすればよいということになる。ネットでもそれは通じるのだから。


しかしブログ界隈がマスメディア化するとしたら、

  • マスメディア→ネットという新しい自分たちのメディア

というメディアの遷移をしてきたわたしたちは、いつの間にか旧来のメディアに後戻りしているということになる。「いや自分たちは発信してるよマスゴミとは違うよ」なんて妄想に浸かりながら、ネットに特化したテレビ番組を眺めているようなものだ。


もちろんそこまで考えるのは大げさかもしれないけれど、以前に書いたようにブロガーの新しい血がいつまでも潤沢に流れこんでわけでもないのだから、みんなまとまった記事とかばっかりじゃなくて半分ぐらい投げっぱなしのを書いたほうがいいんじゃないのみたいなことを考えたのでした。あるいは「マスコミ能力のあるブロガーはそうでないブロガーからの情報を翻訳するほうがいい」とか。


今回はこのへんで。
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